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「宿り身は表舞台には立たないことを絶対のルールにしてる。破れば捕まるから普段は裏でこそこそやってるんだよ」
強大な力を持つが故に、使い方を間違えれば世界のバランスを崩してしまう。
数の面では圧倒的に多い魔力を持たない普通の人間を守るべき対象とする考えが主流派だ。
特に俺が所属している宿り身最大の統括組織『グレイス』は古来発足当時からこの思想を貫いている。
「もちろん悪いこと企んでるやつも大勢いるけど、それを秘密裏に片付けるのも俺らの仕事ってわけさ」
「へぇ、じゃあ尋君も陰で私たちのこと守ってくれてるんだ」
「ま、たまにはね」
感心してくれているところ申し訳ないが、俺はグレイスの中でいわゆる準構成員という立場を取っている。
そのおかげで緊急な仕事を請け負う事はあっても、長期かつ継続的な任務は基本的には免除される。
正式な構成員であればこうして高校に通う事は難しい。現地調査や助っ人で海外に派遣される場合もあるからだ。
将来はまだ分からないけど、このまま適当にやっていくのだと思う。
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