深夜潜入作戦

27/34
前へ
/212ページ
次へ
 「ああっ?てめぇいい加減な事言ってっと本気(マジ)でボコボコにすんぞ?」  「ええっ……こっわ……」  カッと見開いた目の先で何やら鏡が怖気付いている。そんなに強く言っただろうか?  なんて冗談を言っている場合じゃないな。  式神単体ではさほど驚異ではない。まともに攻撃を受けない限り、瀕死の重傷を負う事もないだろう。  問題はこちらの体力だ。  どうにか成立している防衛も際限が無ければいずれ破綻する。永遠に動き続ける事は出来ない。  ならば攻めに転じて一掃出来るか。これにも疑問が残る。何かしらの魔術で出現しているなら原因を明るみに出さなければ、このまま罠にはまったままだ。  兎にも角にも、終わりが見えない。早く解決の糸口を見つけ出さないと。  「矢浪の先輩!そろそろきつい!」  救難信号を受け取る。折坂の姿は黒の群れに飲まれかけていた。  「折坂!こっちに来い!」  氷爪を2発飛ばし逃げ道を切り開く。  一目散に逃げて来た折坂を式神は猛然と追いかけた。  「どうすんですかこれ」  額に汗を滲ませ、息も乱し始めている。その不安は見通しが立たない未来を思っての事か。  手頃にいた数体を片付け、俺は2人に告げた。  「俺に考えがある」  「まじですか」  小さく首肯する。  「お前らに頼みたいのは1つ。俺が行動に移したらしばらくじっとする事。いいな?」  「分かったから、さっさとやってくれ」  ぶっきらぼうな言葉とは裏腹に期待の色が見えた。  可愛くねーなと思いながら、気を引き締める。失敗したら後が怖そうだ。
/212ページ

最初のコメントを投稿しよう!

23人が本棚に入れています
本棚に追加