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ビクッと身をすくめる水原と目が合う。俺も似たような動きをしているだろう。
「まずいっ!水原!ノートしまえ!」
0点の試験を隠すが如く、水原は一瞬で記入されたノートを鞄に入れ込む。
速っ!やけに慣れた動きだなと考えている場合ではない。
「っと、ホワイトボード!」
消している時間はない。
バン!と下段を叩き回転させ、裏面と入れ替える。
「「ど、どうぞー」」
なんとか隠蔽を成功させ、俺と水原はぎこちない声で客人を招き入れた。
「おー、2人ともやってるね。感心感心」
片手を挙げ、やや大袈裟な物言いでその人は入って来た。
髪を後ろでまとめたポニーテールスタイルに服装は事務的なパンツスーツ。
背丈は水原とさして変わらず、歳の差をあまり感じさせない顔立ちから水原のお姉さんのようにも見える(年齢は20代半ばは過ぎてると教えてくれた)。
俺の担任であり、SF研究所顧問の『古閑涼子(こがすずこ)』先生が部室に顔を出した。
「ん、2人ともどうしたの?笑顔が凄くわざとらしいようだけど」
俺たちを見比べてからかうように先生は言う。
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