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「そ、そんな事ないですよ。次の活動を話し合ってただけです」
両手をパタパタ振ってやだなーと水原が誤魔化す。
先生は追及することなく、顎に手を当てて頷いた。
「たしかに、その活動内容は隠したくなる気持ちも分からなくはないかな」
視線はホワイトボードを向いていた。
慌てて振り返ると赤のマジックペンで大きく、
『探れ!未知の生物!UMA発見大紀行!』の文字が。
げっ!これいつ書かれたやつだよ!?
明らかに俺が入部する前に書かれたものだ。ずっと消されず残っていたらしい。
「も、もちろんこんなのボツ案ですよ。UMAなんて50年古いっすから」
イレーザーを上下に動かし乱雑にかき消す。
「そう!私達が目指すのは世界の最果て。誰も辿り着いた事のない未開の地へ歩を進めるんです!」
水原は空想の地に目を向け、ぐっと拳を握った。
「いや、そういう部活だから止めろとは言わないけど」
自分の発言で急遽予定を変更させたと勘違いしている先生は宥めるように言った。
「UMAでもUFOでも2人で何かを成し遂げようとしているのはとてもいい事だよ」
先生の声には子供の成長を見守る親のような優しさがあった。
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