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「はぁ、……じゃあ今度は2人でUNOでもやってますよ」
俺は先生が指導者として暖かい言葉を掛けくれるのが、少し苦手だ。妙に気恥ずかしい。冗談も大したものが出て来ない。
「よし、それは今度3人でやろう。っと、今日はそう言った話をするんじゃなかった」
先生の言葉に水原は首をかしげる。
「そういえば今日はいつもより来るのが早かったですね」
「うん。君達2人に少しお願いがあってね。待たせてごめん。入って来ていいよ」
出入り口に向かって呼びかけると、ドアノブが捻られる音がした。
「失礼しまーす」
遠慮がちに控えられた声には聴き覚えがあった。
入って来たのは学校指定のブレザーをきっちりと着こなした女子生徒。
垢抜けてはいるが、まだ幼さを残した顔立ち。よく手入れされた栗色の髪は長く、右耳の上あたりで小さく括られている。
女子にしては背が高い方かもしれない。細過ぎずにすらりと長い両足はどこか機敏な印象を与える。
先日、霊感少女という嘘の垂れ込みで依頼を持ちかけた『七瀬響香(ななせきょうか)』がぺこりと頭を下げた。
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