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「よし、行くぞ」
増援が来る前に外に待避。後は各自単独行動に移り集合ポイントで落ち合う。
次の指示を出す前に隊長は見た。
暗闇の中からゆらりと現れた人影。
気付けば地下からの振動は止まっている。
新手、もしくは例の化物が利益を独占するために男達を消し去るつもりか。
あらゆる可能性が頭を過ぎったが、暗視ゴーグルを通して見る風貌がそれらを否定する。
身に纏っていたのは何の変哲も無いワイシャツとスラックス。
この場ではあまりにも相応しくない服装は所々熱で焦げた跡があった。
目の前の状況から1つの答えが導かれる。
(まさか、奴が負けたのか!?)
取り乱したのはほんの一瞬。プロとしての経験から次の判断を即座に下す。
「撃て!」
隊長の声に従い、5人が銃を乱射する。
おびただしい数の銃弾を受ければ人の形すらも保てない。
そんな彼らの常識はいつまでも訪れない。
よく見れば左手だけが銃弾を防ぐようにわずかに動いていた。
「馬鹿な!?そんな事があるわけっ!?」
人影が左手を振うと同時に飛来物が空を裂いた。
「ぐうっ!?」
「うがっ!?」
1人また1人と声を上げてはその場に倒れていく。
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