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「こんなもんにどんな価値があるのやら」
大量の文字の羅列に目を通す気にもなれない。
しかし、たまたま別件で近くにいたとは言え、Aクラス警報で強制的に出向かされたのだから思っている以上に重要な代物らしい。
(ここもただのお偉いさんの研究所って訳でもなさそうだな)
巡らせたていた思考は途中で切り上げた。
おおよそ自分には関係がない。下手に探りを入れれば厄介事に巻き込まれる可能性もある。
明日も朝が早い。取り戻した静寂の中、今か今かと増員を待った。
彼は『宿り身』と呼ばれる人間だった。
産まれた時から魔物の魔力と本来の姿をその身に宿し、人知れず世界の裏側を駆け回っている。
こうして宿り身の少年、矢浪尋の日常は過ぎてゆく。
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