扉を開けて

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 松の木が描かれた襖がある。  松=待つ?  謎かけだとしたら、ここだ。  ぼくを待つもの。  ものではなく、人。  忘れてはいけない同級生。  忘れるものか。  一生忘れない!  忘れないためにも、ひと目会いたい。会って話したかった。  ぼくのせいか? と。  決して保身の意味合いではない。聞きたかったんだ。ぼくの言葉が、君を追い詰めたのかと。  松の襖を開ける。  襖の向こう側には畳部屋。二年前に亡くなったぼくのおじいさんがあぐらを掻いて新聞を読んでいた。  目を落としていた新聞から顔を上げて、何しに来たんだと言った。  否。声は出していない。  ぼくの脳裡に直接話しかけてきた。  さっさと襖を閉めろ。  絶対入ってくるな。  まだ早い。  おじいさんはそう言ってくれた。  だけどぼく。  本当にまだ早い?  ぼくは生きていていい?
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