扉を開けて

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扉を開けて

 扉を開けて、ぼくは絶望する。  違う。この扉ではない。  ぼくは次の扉に向かう。  開ける。違う。  その次の扉に期待する。  どうか。  望むものが出てきますように。  ドアノブを回す。違った!  ぼくは板張りの廊下に裸足で立っている。長い長い板張りの廊下。  その両側にずらりと扉がある。  ずらり、扉とドアが交互にあった。  どこまで扉とドアがあるのだろう。  緩やかな曲線を描く仄暗い廊下。  見えない先にも扉があるのか。  それは定かではない。  ガタガタと音を立てる木製の引き戸があり、金属製のドアがある。ガラスが填まった格子模様の金物扉があり、厚みのある堅牢な木材に蔦や花鳥風月の細かな彫刻が施された、華麗な両開きドアがある。  扉やドアを開けて閉める。  ぼくが望むものは出てこない。  開けて閉める。  見つけるまで。  見つかるまで。  ぼくはここから出られない。
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