押しかけ問答のアレ

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押しかけ問答のアレ

「そうですか、では俺死にたいです。宜しくお願いします」 「駄目です」 「なぜですか?」 「それは、その、わた、し、て、天国が通行止めだからです」 一心は笑ってしまった。 「復旧まで何日かかりますかね?」 「ダメ、ずっとずっと通行止め」 「困りました。死にたいのに。じゃあ地獄で構いません。地獄こそ俺に相応しい」 「もっとダメ」 「私が行けなくなるから」 「天使さんの割にはちょっと自己中心的じゃないですか?」 「どっちが!私の気持ちも知らないくせに」 一心は訳がわからなくなった。 「どうせこないだの雨の中美人だのかわいい娘だのよこしまなこと考えて風邪でも引いたんでしょ!こないだだってあんな声出させて」 一心はもっと訳がわからなくなった。 「こないだ?あんな声?」 「しらばっくれたって私聞いてたんですからね、ずっとここで」 一心はちょっとピンと来たので 「じゃああなたもすれば良かったじゃないですか」 「しました!一人で!」 天使は激怒した。  一心はなんだか相手の逆鱗に触れてしまったと感じたので自然に咳をして誤魔化した。 「ああもう埒があかない、あなたと私の壁破っていいですか?」 「は?壁?ごほっご、ひゅうひぃぃ」 一心は言葉に詰まった。呼吸に詰まってそれどころではない 「それでは失礼します」 バキバキ、ガガーリン! それはベランダから聴こえた破壊音だった。  
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