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待ちぼうけ
僕は、潮田さんと歩き出した。
大好きだった恵理子に、五股を掛けられていたのだ。
もう、約束のことなどすっかり忘れて、僕は渋谷駅の前を後にした。
いつの間にか、すっかり雨は止んでいた。
そして、数分後。
「ようやく雨が上がって来れたけど……。山下君どこいったのかな」
神田恵理子の姿があった。
キョロキョロと見回した挙句、携帯で電話をしてみた。
ーツー、ツー、ツー
「おかしいわね。ちょっと遅れるって言ったのに」
ポンポン
「だ、誰?」
恵理子の肩を、サラリーマンの男が叩いた。
「私は、こういう者です」
ーよろず探偵 目黒竜造
「探偵? 探偵が何の用ですか」
「あなたの彼氏。新しい彼女ができて、もういなくなりましたよ」
「え、ええええ!」
「ほら」
そこには、真理と肩を組んで歩く男の動画が映し出されていた。
「な、なんですか、これは!」
「あなたを待っている間に、彼はナンパをして、新しい彼女を作って、どこかへ行ってしまいました。残念でしたね。あーっ、はっはっはぁ!」
「……そ、そんな。ひどい、酷いわ!」
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