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目が覚めると
どれだけの時間が過ぎたのだろうか。
「う、ううう」
重い瞼をやっとの思いでこじ開けると、目の前に見知らぬ女性の顔が現れた。
「大丈夫……ですか」
「え、ええ。あなたは」
「覚えていませんか。私は高校の同級生、潮田真理です」
ー潮田真理?
僕は思い出した。
潮田は、眼鏡を掛けて小太り、友達もいない根暗な陰キャだった。
正直、お世辞にも可愛いとはいえず、クラスの中で孤立していた。
「あ、ああ。久しぶりっていうか、なぜここに」
少しずつ、記憶がよみがえって来た。
僕は彼女の唯一の話し相手、というか、一度だけ一緒に図書委員をやったことがあった。
「えっと、たまたま通りがかったところに、あなたが倒れていて」
「助けて、くれたんだ」
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