episode.2 傷ついた訪問者

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episode.2 傷ついた訪問者

 雨は深夜からずっと降っていた。  しかし見通しが悪かったわけではない。運転手の体内に残るアルコールが、その感覚と判断を鈍らせていた。    何かに当たったように思った。  ヘッドライトに一瞬照らされたその何かはおそらく人だ。軽い衝撃と、衝突音はたしかに聞いた。しかし、車自体が止まってしまったり、スピードが緩んだりするほどではない。  振り向く。  街灯の下、何かが横たわっているようにも見えるが、水溜まりに反射する光のようにも見える。このまま行ってしまっても大丈夫じゃないか、停まって確認して、へたに対応したら自分の飲酒が発覚してしまう、運転手はアルコールで鈍る思考力をどうにか起動させ、そこまでを考えた次の瞬間、目の前にコンクリート製の太い電柱が迫っていた。激しい衝撃を感じたか否かの後、意識を失った。
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