✳︎✳︎

4/10

0人が本棚に入れています
本棚に追加
/28ページ
 でも、そこから仕切り直してお店を探す臨機応変さは残念ながら僕にはなくて、ラーメンを食べたいという浅生さんのその言葉に甘えてしまった。  僕にとっては行き慣れすぎている、ちょっぴり小汚いお店ののれんを、浅生さんを連れてくぐった。しょっちゅう行くくらいだから、味は確かだ。  美味しい美味しいと、浅生さんは満面の笑みで何度も呟いた。  僕の顔を覚えていたらしい、ちょっと強面(こわもて)の店員さんが「今日は珍しいですね」とここの店に通い始めてから初めて話しかけてきた。  その強面に不釣り合いなウインクまで投げられてしまって、どう反応したらいいのか分からなくて僕は曖昧に笑った。
/28ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加