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「その感じだと拭くもの持ってなさそうだね。ちょっと湿っちゃったけど、使って」  何でもないことのようにハンカチを差し出してきた浅生さんに、「え、いいよいいよ。そのうち乾くから、ほんと気にしないで」と僕はあたふたとした気持ちを抑えながら丁重に断りを申し入れた。  浅生さんはほんの少し唇を尖らせて、でも無理にそれを僕に渡そうとはしなかった。 「山田くんって一見人に気を遣っているように見えて、実は結構頑固だからねー」 「うーん…あんまり言われたことないけど。むしろ流されやすいし、一貫性もないっていうか」 「そうかなぁ」
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