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雨が降る様子を見て「空が泣く」と例えたのは誰だったっけ。それとも何かの歌の歌詞だっただろうか。
あっという間に立ち込めた暗雲と突然の土砂降りに、はっきり言って泣きたいのは僕のほうだった。
何で、どうしてこうなるんだ。それにどうして、よりによって今日。今日じゃなくたっていいだろう。どうして今日の僕はこんなについてないんだ。
とにかくこの雨から一旦避難しないと、と思った所でたまたま近くに公園があったのが不幸中の幸いだった。あいにく揃って傘を持っていなかった僕と浅生さんは、東屋の中に逃げ込んだ。
「…ごめんね。本当にごめん」
「もう、それ今日何回目?謝りすぎだよ。聞き飽きちゃった」
「…ごめん」
「ほらまた」
「あっ」
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