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きんつばをパクリと口に入れれば、彼女の顔は一気に緩む。
「うー、美味しい!」
これ以上ないほどの笑顔に、圭樹もニコニコしながらそれを眺める。
「本当に苺は甘いものが好きだよね」
「きんつばは神です」
きりっとした顔も一瞬、圭樹の手からきんつばを与えられれば、パクリと口を開けてニンマリ笑う。
「うふっ、苺ちゃんってば本当に美味しそう♪」
そう言いながらお茶をコトリと置いたのは、圭樹の母親、支倉充希だ。さらには圭樹の師匠でもあり、裏千家の流れを汲んだ伊織流のお家元でもあるが、今は見る限り普通の主婦にしか見えないだろう。
「そうだ、苺ちゃん、空也の最中食べたい?」
そんな質問に、苺の頭の中は最中一色に染まった。
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