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目深にかぶった帽子のつばを持ち上げ、男はつぶやく。
「止みそうにはないなぁ。これ。」
すぐに止むだろう、と呟き歩き出したのいつだったか。あては当の昔にはずれていた。
防水仕様の帽子とローブのおかげで何とかなっているが雨に打たれ続けるのは気持ちに堪える。
(屋内とは言わないまでも、ひさしのある所に寄りたいものだが)
「あぁ、しかし、ようやく見えた。歩こうか」
丘のむこう、霧がかった森と街灯がつき始めた街を視界にとらえて男はまた歩き始める。
旅人は数日の宿と商いを求めて、薬学の都市『オーレス』へと向かっていく。
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