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雪が降っている。
空はどんよりと曇り、空気は濁ったような湿気を帯び、凍った舌で舐められるような不気味な寒さが体を凍えさせる。
いつから冬はこんなにも過ごしにくい季節になったのだろう。
少し前までは、どこまでも透き通るような空からきらきらとした雪が舞い落ち、地面を美しい純白に染めていたというのに。
理由はわかっている。
海をわたり訪れる破滅の使者。我々には到底理解のできないものを使い、全てを破壊していく者たち。長いときの末、彼らはこの大地を到底想像もつかない有様に変えてしまうのだ。
私は未来視によってその光景を見た。間違いない。この長い冬が終わる前に、奴らは必ずやってくる。その悪夢を知っているのは、いまだ私一人だ。
先の見えない吹雪の中を寝床に向かって歩く。戦わなければ、戦うのだ。私一人で何ができるかわからない、だがやらなければならないのだ。やつらの技術を少しでも解析し、我々でも使える武器を作り出す。あの絶望的な未来を変えるために、少しでも仲間を集め行動しなければならない。
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