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そんな彼女の笑顔と、彼の腕に絡みついたか細い腕に、彼もまんざらでもなさそうだった。というか、鼻の下を伸ばしているようにも見えた。
五反田駅の改札は、池上線の乗り換え通路の他は中央の階段部分のみだ。だから私たちは彼たちを追いかける格好になった。
改札を出て、私は後を付けようと思ったが、「英梨奈、こっちだよ」と華苗に腕を引っ張られてしまった。そして彼とは私たちは彼とは違う方向へと歩いて行くことになった。
私の彼である十三里徹の腕にしがみついているあの女の子は一体誰なのか。こうして、心の中にもやっとしたものが生まれた。
(続く)
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