10人が本棚に入れています
本棚に追加
「大丈夫です。先生が悪いわけではないので」
仕方ないといえば、これは仕方ないこと。
犯人がこの二日間で何もしてこないという保証はないし、よく考えてみれば、私たちが必ず犯人を捕まえることができるという保証もない。
だから、これは仕方がないことなんだ。
先生や私たちは誰も悪くない。
悪いのは犯人なんだ。
――イオリに、なんて説明しようかな。
「また、イオリにも言っておきます。だから、先生はイオリに直接伝えないでください」
「わかった」
何かを察したように先生はそう返事をした。
――分かってくれたのなら本当に良かった。
「ありがとうございます」
私はそう言って、その場を離れた。
……やっぱり、イオリには言わないでおこう。いや、言っちゃダメな気がする。
ずっとは無理かもしれないけど、少なくても二日後までは。
で、犯人を捕まえたら、復帰できないか尋ねてみよう。
それでも無理だったら――悲しいけど、イオリに言うしかない。
今日は梅雨明けらしいけど、まだぽつぽつと雨が降っていた。
***
――七月六日。
ついに、決戦の日。
最初のコメントを投稿しよう!