第五章 三日月の夜

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第五章 三日月の夜

 七月六日。午後四時三十分。 「あのさ、聞いてほしいことがあるんだ」  私が大声で呼びかけると、その場にいた両親、妹、祖父母はいっせいにこちらを向いた。  ついに作戦は動き始める。  まずは私が家族に状況を知らせる。  桜井教授が前日に無線機を用意してくれた。  それを使えば、いつでも連絡を取ることができるらしい。  主にはイオリに送られた情報を発信するのが目的なのだと。  私はその無線機を右耳に付けた。  次は三日月家の魔女や魔法使いに協力を頼む。 「私は今――何者か狙われてる。きっとお父さんの誕生日である今日、犯人がこの森を襲ってくると思う。  クラスメイトの桜井伊織も同じく狙われていて、彼と彼の……お父さん。そう彼のお父さんも協力してくれているんだ。  だから、みんなにも協力してほしい。多分、犯人が来るのは夜。三日月の夜。――お願いします。私たちのためにも、犯人を捕まえるのに協力してくれませんか?」  私はみんなに向かって頭を下げた。  ……普段は魔法の修行のことしか考えてないとは思うけど、これはイオリのためでもあるんだ。 「桜井、伊織? ……友達の子か?」
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