あの子と、サイコロキャラメルと

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全力で遊び過ぎなのかと、僕達はそう思っていた。相談の結果、暫くはあんまり体を動かさない遊びをしようと、僕達は放課後1度家に帰り、カバンを置き、囲碁や将棋を持って寺に集まる様になった。あの子は相変わらず鐘の下で僕達を待ち、片手を上げて迎え入れてくれている。遊びは変わったが、僕達の関係は変わらなかった。 ある日のおやつの時間、あの子は僕達に見慣れない菓子をくれた。サイコロの中にキャラメルが入っていて、食べ終わった後はサイコロが玩具になるという画期的な菓子だった。都こんぶや煎餅といった、しょっぱい物ばかりを食べていた僕達には衝撃的なお菓子だった。甘い、甘い、と喜ぶ僕達をあの子は笑顔で見詰めていた。 食べ終わった後は、みんなでサイコロで遊んだ。1番大きな数字を出した人が勝ちー!とか、事前に偶数か奇数かを宣言し、その通りになった人が勝ちー!とか、いつもみんなで遊びを考えていた。あの子はサイコロキャラメルばかりを持ってくる為、サイコロはたまるばかりで、最終的にはサイコロをどれだけ積み上げれるか競ったりもした。楽しくて疲れる毎日だった。大丈夫?顔色悪いよ…と周囲から言われる事が増えた。僕達は大丈夫と答え、それからも友情を深めあった。
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