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僕達の友情が崩れ出したのは、おかしな事が起きてからだった。僕達はいつもゴザを広げ、その上で遊んでいたのだが、その日は天気が良すぎて暑さが身体に堪える日だった。
みんなで汗だくになりながら将棋をして遊んでいると、住職さんが僕達に、暑いだろうから本堂に入って良いよと言ってくれ、その言葉に甘える事にした。中に入ると、ヒンヤリとした空気が気持ち良かった。仏像に一礼をし、将棋の続きをやろうとすると、住職さんがタオルと氷入りの麦茶を持って来てくれた。お礼を言い、受け取ろうとすると、各々3つしかない事に気付いた。タケシがそれを指摘すると、住職は怪訝な顔を見せ、あの子は悲しそうな顔をした。その日はタオルと麦茶を1つずつ増やしてもらい、普通に遊んで終わった。
次の日、僕達は学校であれは何だったんだと話合った。ーー君に対するイジメ?住職さんの悪ふざけ?僕とガンテツがあれこれ言い合いをしていると、あの子人間じゃないんじゃない?と急にタケシが呟いた。何を言ってるんだよ!と僕が声を荒げると、だってあの子変じゃん!とタケシ。僕達以外に誰も知らない、学校に通ってない、名前が変、しまいにゃ、住職さんには見えてない…僕達は幽霊と友達になってしまったんだよ…。そう言って頭を抱えるタケシに、だから何だ!とガンテツが声を荒げた。相手が本当に幽霊だったとしても、一緒に遊んだ楽しい思い出は本物だろうが!友達を差別すんな!と。僕も同意見だった。ーー君が幽霊だったとしても、あの子は良い子だ。今更友達を止めたくない。
タケシは、僕は昨日気付いて怖くなったし、最近の疲れはあの子のせいだと思ってると言い残すとその場から立ち去った。そして僕達とも話さなくなり、徐々に疎遠になっていった。僕達から離れたタケシは、少しずつ顔色と元気を取り戻していった。新しい友達を作り、毎日楽しそうだった。
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