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以前、投稿サイトの応募作品を駅前の公園で書いていた時期がある。
夕方に自宅を出て公園で一夜を過ごし、朝に帰宅する。そんな日々を送っていた。
夕方、線路脇のコンビニに立ち寄ると、駐車場に車が一台停まっていた。
奇妙なのは、後部座席に一糸纏わぬ姿の女性が乗っていた事だ。
女性は、ピクリとも動かない。
人形なのだろうか。それにしても良く出来た人形だ。
私が店内に入ろうとして背中を見せると、背後でドアが開く音がした。
振り向くと誰もいない。
珈琲を買って駐車場出ると、さっきの車の窓が開いていて、そこから二本の腕が突き出ていた。
腕の後ろから黒い髪の毛が見えた。
出て来ようとしている。
慌てて自転車に股がり線路の向こう側を目指した。
閉まりかけた踏み切りを勢い良く抜ける。
背後を電車が通り抜ける。
その瞬間、大きな悲鳴がした。
振り返ると、人形がバラバラになっていた。
踏み切りに転がる腕の先の指がウネウネと動いてたのでその場を慌てて離れた。
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