〜第漆話〜 七卿も、都追わるる雲の下(続)

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 嘘だと言うかもしれないが戦国時代の槍は茎が石突まで達していて、尚且つ柄には短冊状に切った鉄板を巻きつける[蛭巻(ひるまき)]と言う技法が用いられている。  単なる焼入れ無しの生鉄だったとしても、刀で斬る事は難しくなる。  少なくとも、武将の遣う槍は上記の通り。  流石に足軽の遣う六間槍ともなると、用途が変わる為そんな仕様にはなっていない。  それとて、刃物が通り難い縒り合わせた麻糸で補強したりしている。  武器を使用する為に補強するのは当たり前なのだが、それなら何故。  柄や鞘を、ヨーロッパの貴族が用いる様な金属で装丁しなかったのか。  それは、衝撃の吸収効率が木材と金属では違うからと言える。  やんちゃな男の子だった人なら理解るかもしれないが、チャンバラごっこで遊んだ際。  相手の木の枝を受け止めたり殴ったりすると手首に結構な衝撃が来た覚えが有るだろう。  多少格闘技を齧った者でもサンドバッグを殴ると手首や肘に結構なダメージが来た事は無いだろうか。  野球やソフトボールの経験者なら、バットでボールを打ち返した時の衝撃は忘れる事は出来まい。  刃物だろうと野球のバットだろうと、殴れば反動の衝撃が伝わるのである。  金属だと、この衝撃が弱まらずダイレクトに腕へ。  否、上半身に伝わってしまうのである。  それもあって、古墳時代や奈良時代。
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