(30)詩:エステル瑠璃 さま

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「遠い声」(詩集『小さな花束』より) 戦艦大和が 沈みかけた時 [ 皆 故郷の方に 向かって 叫べ ] と 命令が下された 遠くから 私を呼ぶ声がした あなたの 声だった あなたは 生きて 帰れるか わからない あなたから 沢山の 手紙が 届いた ”あなたの 白い すべすべの 肌に触れたい” ”あなたは 僕にとって 最初で最後の 女性だ” 口には だして 言えない 言葉が 書いてあった 終戦に なった あなたは 疲れた体で 帰って来た
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