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先生のデスクに茶托を置き、ほうじ茶を入れた茶碗を置く。自分のパソコンを立ち上げ、メールチェック。そして書き下ろしと連載の進捗と締め切りの確認が済んだら、出版社の担当の方向けにご挨拶と訪問日時の確認をメールする。
午前中は大体そんな感じで過ぎ、午後からは先生に頼まれた資料を探しに古書店に行ったり、神戸出張で訪問予定の場所の確認、ホテルと新幹線の確認となにかと忙しい。
「三原さん、神戸出張で舫堂さんに顔を出しませんか」
エクセルに入れた行程表を確認していたら、先生から声をかけられた。
「舫堂さんですか」
「ええ、いつもサイン会などでお世話になってますし、確か宿泊先のホテルからも近いので」
「わかりました。先方に確認を取っておきます。お時間のご希望はございますか」
「そうですね、二日目の昼食後、夕方まで空いていたかと思うのでそこでではいかがでしょう」
「わかりました。連絡をしておきます」
舫堂といえば「朱の耽溺」サイン会で伺った場所で、ストーカーのようなファンの方がいた場所だ。あの方、お名前なんて言ったっけ。今回神戸に行くにしても、公にしていないから彼女が来ることはないと思うけれども。
私は舫堂の店長、弓削さんの名刺を取り出した。そういえば黒田さんにもお世話になったから、CCで黒田さんにも送ろう。私は四月半ばに神戸出張があるのでお店にご挨拶に伺いたい旨をメールにしたため、送った。数分後には黒田さんから「弓削共々大歓迎です、楽しみにしております」と返事があった。
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