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結婚前夜の静かな夜Ⅰ
その夜はレイラとエレーナ2人きりの静かな夜だった。いつもは蝋燭で赤々と照らされていている広々としたダイニングも、今日は窓から入ってくる月明かりくらいしか視界を照らすものはない。
今日は2人とも明るい場所には居たくはない気分であった。エレーナの頼みで家中の明かりを消してもらっているから、使用人たちも、もう早めに休んでいるかもしれない。
レイラはメイドとして、ジェミナリー家の三女であるエレーナのお世話係をするようになってから9年間も彼女のことを見続けてきた。だから明日からエレーナのいないお屋敷で仕事をするなんて、レイラには考えられなかった。
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