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「寂しくなりますね、エレーナお嬢様」
レイラは立ったまま姿勢を正して、エレーナのティーカップにハーブティーを入れながら静かに話し出した。
「そうね。今までありがとう」
エレーナは上品な笑みを浮かべてレイラを労う。レイラにはそのエレーナの短いお礼の言葉の中に、今まで共に過ごしてきた濃密な9年間の思い出が凝縮されているように感じられた。
明日の結婚式を終えればエレーナはもうここジェミナリー家の者ではなくなってしまう。今日で終わり。全部終わり。
もうエレーナの感情への答えに悩む必要もなくなる。
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