結婚前夜の静かな夜Ⅰ

3/9
39人が本棚に入れています
本棚に追加
/79ページ
エレーナはハーブティーを隅々まで味わうようにゆっくりと口に含んでいく。静かな夜のダイニングに、エレーナの喉を通るハーブティーの音が紛れ込む。 「やっぱりハーブティーはレイラが淹れてくれたものが一番美味しいわね」 湛えられたエレーナの笑みはほんのりと上品に照らす月の明かりによって、普段よりもより一層美しく見えていた。 エレーナがハーブティーを味わいつくすと、ティーカップの縁から瑞々しく艶やかな唇が離れていく。レイラは気付けば、いつも以上に麗しいエレーナから目が離せなくなってしまっていた。 カップとソーサーを机上に戻したエレーナが、レイラの瞳をじっと見ながらゆっくりと口を開く。
/79ページ

最初のコメントを投稿しよう!