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それ以降も、夕立に攫われた者はいるが、全員無事に戻っている。その頻度も最近はすっかり減っている。村人が夏に山に入らなくなって、やがて村が無くなり、人気が失せたから、というのもあるのだろうが……。
……ん? 何、土砂崩れ? ははぁ、そうか、毎年同じ場所で夕立が降るものだから、地盤が耐えきれず山が崩れたのだ。それで形が変わって、今まで降っていた場所に雲がかからなくなったのだな。今は何年かに一度降るかどうか、といった所なわけだ。
そうかそうか、それはいいことだ。あぁ、いいことだとも。こんな屋敷は人目につくべきじゃない。
ここは善人も悪人も、誰もが魅了されてしまう。夕立の豪雨を、誰もが直に見つめたくなるように。ここはそういった、心の奥底から迫る欲求に耐えられなかった者を捕える牢なのだ。君も、雨が止んだら早く帰りなさい。
久々に人と話せて、楽しかったよ。もう二度と来るんじゃないぞ、宝は君が見つけた小さな宝石以外隠してあるが、万一他の宝を直接目にした時、君が耐えられるかは、俺にもわからないのだから。
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