ひとり暮らし

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仕事からの帰り道。 やっぱり降って来たかと、どんより重たい空を見上げる。 けれど、心は軽かった。 今日からひとり暮らしである。 今までは、雨が降ってきているのに、洗濯物に知らん顔の家族にイライラしていた。 今日からは、それがない。 洗濯物が濡れるのは、同じなのに。 誰かに期待して裏切られるのは、辛い。 全てが自分次第なのだ、と分かる。 何にも期待せず家に帰り、やっぱり濡れてしまった洗濯物を家の中に引っ掛ける。 ただそれだけのことに今まではイライラしていた。 1人分の食事を用意して、1人でテレビを観て笑う。 今は、それが幸せだ。 そう思わせてくれたのは、やっぱり洗濯物に気づかないでいた家族なんだと思ったら、少しだけ泣けた。 Fin
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