プロローグ

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プロローグ

 西暦2094年12月24日、26年かけてついに実用化に至った、タイムマシン「0形」が世界中で同時発売された。それは、クリスマスプレゼントとして大いに世間を賑わせた。豪華特典がついてくる予約購入をできたのは応募50億人中たったの100万人だった。  その0.02%に幸運にも入ったのがこの俺、篠ノ井明(16)だ。  今は、それが届くのを待っている。  「まだかな〜まだかな~」  「もう、届くまでまだ40分もあるじゃない」  そう言ってくるこいつは妹の桜(15)だ。  ピンクブラウンの髪をハーフツインテールに結び、少し幼気が残る顔は呆れた表情をしている。  そして、こちらに向けられるアースアイの瞳。  俺の部分的虹彩異色も相当珍しいが、こちらはそれを超える珍しさだ。  俺の知ってる限り、今の日本にアースアイは桜ひとりしかいない。  しかも、桜はピアノをはじめとした音楽系の全国大会を総ナメしてるし、美少女でもあるから全国の注目度もめちゃくちゃ高い。    今、家には俺たち二人だけしかいない。  両親はそれぞれロンドンとニューヨークへ長期出張に行ってしまい、半年は帰ってこない。  そこで俺たちが計画したのが、二人だけの時間旅行だった。
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