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ハマボウの黄色い花は今年も今日も咲いている。ぼってりとした花弁を開き強い陽射しをめいっぱい浴び生きている、この瞬間の姿を僕は見たかった。
だから、熱中症を心配する娘に止められても、昼間の浜辺に来たのだ。
「おじいちゃん、大丈夫?」
身重の孫が、波打ち際で手を振って明るい声をあげた。
「ゆりちゃんも無理しないでね」
しわがれ声を腹からしぼり出す。
ゆりはにこりと笑い、よちよちと海へ向かう理を追いかけていった。
空は青く――B29ではなくカモメがとんでいき、
聞こえるのは潮騒とセミの合唱と子どもの声で、空襲警報が鳴ることもない。
いまを楽しい思い出として感じていたい。
昼間のハマボウとともに。心のなかにいるマツコさんとともに。
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