第四部 私もあなたが好きだった

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 上映自体は四十分程度で終了した。  しかしプラネタリウムが初めてだったからか、満足感が尋常ではなく、映画を一本見終わった時のような充足感が身体を満たしている。それはアニェスも同じようで、プラネタリウムから出た後も、少しぼんやりしているようだった。 「アニェス、大丈夫か?」  まぁ大丈夫だとは思うが、念のためそう尋ねた。  アニェスは少しボーっとしていたが、ハッとしたようにこちらに向き直る。 「う、うん。大丈夫。すごかったね、プラネタリウム」 「ああ。また来たいな」  アニェスは俺の言葉に対して、どう返したらいいか悩んでいるようだったが、 「うん。そうだね」  そのように返してくれた。
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