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しばらくして、ヘリはシェパーズの本部に到着した。シェパーズの本部の所在地は知らなかったが、いくつかの基地が東京近辺に存在しているようだった。
俺はヘリから担架で下ろされて、医療ブロックに搬入された。すぐさま精密検査が行われたが、所見は問題なかったらしい。前頭部の裂傷が激しいため絶対安静と言われたが、俺は曖昧に返事をした。
取り敢えず寝てろということだったので、作戦開始時刻までヴィヴィに言われた通り養生することにした。
俺は今、医療ブロックの病棟に入院している。頭部に巻いた包帯が煩わしいが、外すわけにもいかない。しばらく待っていると、ヴィヴィの代理だと言う女性が現れた。
「お連れ様が参りましたよ」
そう告げる女性に対して、俺は疑問符を浮かべずにはいられなかった。
しかしそこに現れたのは、
「おにいぢゃん――」
べちゃべちゃに泣き腫らしたルミだった。
「ルミ?!」
俺はまず、彼女が外出を行ったことに驚いていた。アニェスと出かけたことはあったが、一人で出てくるのは何年振りという単位だ。
「おにいぢゃーん! 無事でよかっだぁ!」
ルミは飛びついてきて、絶妙に頭部にダメージを与えてきた。
「痛い痛い痛い! わかったから離れろって!」
俺は無理矢理ルミを引き剥がして、落ち着かせることにした。
「お前、一人で大丈夫だったのか?」
ルミはまだ泣いていたが、それでも顔を上げてくれる。
「ヴィヴィさんから連絡があってね。お兄ちゃんを収容したからどうするかって。本人は今夜の技術研究本部強襲に参加するって言ってるけどって。あたしもう放っておけなくって」
それで遥々シェパーズの基地までやって来たということか。
しかしあのルミが単独で外出するなんて、天変地異の前触れではないかと疑ってしまう。
「ちょっと外気に触れすぎて気持ち悪いけど、大丈夫だよ。それと」
ルミは俺にしがみつく手に力を込めた。
「もう頑張らなくていいんだよ。アニェスさんのことはシェパーズの皆さんに任せて、お兄ちゃんは休んでいよう? そんな怪我じゃ、戦えないよ」
ルミは有無を言わさぬようにか、顔を俺の胸にうずめてそう呟いた。
「もう良いんだよ。お兄ちゃんは頑張った。これ以上もう傷つかなくたって良いんだよ――」
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