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医療ブロックの外に出ると、そこはもうヘリの発着場だった。既にヘリは起動していて、滞空状態で待機していた。ヘリの前には何人かのスタッフが待機していて、ヴィヴィの訪れと共に敬礼を返していた。
「よし、全員乗り込め！」
ヴィヴィの指示通り、俺はヘリに乗り込む。武装した隊員も一緒だ。最後にヴィヴィが搭乗して、彼女はヘリのドアをロックした。
「パイロット！ 出してくれ！」
すると了解の返事のもと、ヘリが上昇を開始した。ヘリの窓から外を眺めると、他にも何機かのヘリが空を飛んでいて、地上には兵員輸送車や戦車の類が集っていた。
『凄いね。確かにここまでの戦力があれば、もしかしたら政府に勝てるかも』
イヤーチップからルミの声が漏れた。彼女は今シェパーズの管制室に置かせてもらっていて、俺のバックアップをしてもらっている。
「ああ。しかし連中も多くの戦力を技術研究本部に集結させてるはずだ。油断はできない」
『そうだね』
レンズのHUD上でルミが頷いた。背景はいつもの彼女の部屋とは異なるが、ルミの調子は悪くないようだ。
「頼むぜ、ルミ」
『情報支援は任せて！ おにーちゃん！』
元気に返事をくれたルミに頷き返し、俺はヴィヴィの方を見やった。
「少年。ヘリボーンの経験はあるか？」
ヘリボーンとは、戦地に降り立つ際ヘリコプターからパラシュート（まぁ普通はラぺリングが基本だが）を引っ提げて降下する揚陸手段の一つである。
もちろん正規の訓練を受けていない俺には、ヘリボーンの経験などない。
「いえ、一度も」
「まぁそうだろうな。しかしこの作戦にはヘリボーンが絶対条件だ。ぶっつけ本番だが、成功してもらう他ない。頼んだぞ、少年」
頷いた俺に、ヴィヴィは立ち上がるよう指示する。俺が立ち上がると、スタッフたちが寄ってきて、俺にヘリボーンの装備らしきものをアタッチしていく。
『ひぇぇ。あたしだったらヘリボーンなんて願い下げだよ』
「お前はそもそも高所恐怖症だろうが」
しばらく待っていると、装着が完了したようだった。
「滞空と操作はなんとなくわかるだろうが、パラシュートの展開タイミングを間違えるなよ。失敗すると、屋上に叩きつけられることになるからな。地上砲火が支援をする。余裕をもって展開してくれれば良い」
「わかりました」
恐怖心から早くパラシュートを展開してしまうと、その分地上から攻撃されて撃ち落とされてしまう確率が上昇する。かといって直前までパラシュートを展開しないと、地面に衝突することになってしまう。匙加減が重要な要素であった。
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