2人が本棚に入れています
本棚に追加
/134ページ
油断なく拳銃を構えながら階段を下りていくが、殆どの人員は出払っているか逃げ出したのか、人っ子一人会うことはない。
むしろ都合が良いのだが、前提として自衛隊の隊員が駐在していることは念頭に置くべきだ。なのですぐさま発砲ができるようにシグを構えているが、しかし連中が現れることはない。
しばらく進んでいくと、何のセキュリティにも引っかかることなく、目的の六階まで到達する。
どうやら地上部隊に気を取られて、施設内部の警戒は殆どしていないようだった。逆に俺のような潜入工作兵が侵入しやすいので、楽と言えば楽なのだが。
六階の踊り場まで来て、俺は顔だけを覗かせる。この前とは別の口に来たようで、前と同じようなロックされた大扉が備えられている。
「時間もない。爆薬で突破する」
俺は設置されている監視カメラをシグで破壊し、ウエストバッグから爆薬を取り出す。今回の爆薬は、隠れる必要がないため前に練馬駐屯地で使用した威力重視のものだ。
大扉に爆薬を貼り付けて、距離を取る。そして爆音で耳をやられないように塞ぎながら、起爆を行った。
爆音が辺りと包んで、埃が舞う。ゆっくりと顔を出してみると、大扉に大きな風穴が空いていた。
『ここから先は何があるかわからないよ。気を付けて』
「ああ」
ルミの忠告を受け止めて、俺は武器をグリズリーマグナムに切り替え、大扉の中へ進んでいった。
最初のコメントを投稿しよう!