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デパート探偵
ここはデパートだ。
辺りを見回すと親子連れが多くいる。
その時、爆音がデパートに轟いた。
地面が揺れる。
そのデパートに夏川結衣はいた。
警察によると、意図的に爆発させたらしい。
気になることに、火薬などの量は十分に足りていたのに、電気が少量しか供給されず、そんな大したことはなかったようだ。
当然、犯人を探す。
デパートにいた人をいくら調べても何も出てこなかった。
だが怪しい人物は発見されたようだ。
私と警察の関係は秘密だが、協力を了承してくれた。
丘元彰というらしい。疑われたのは彼の所持品からだった。
十円と一円がたくさん入った財布、キッチンペーパー、食塩水が入ったペットボトルだけしか持っていなかった。
財布も十円と一円では買い物ができないし、キッチンペーパーや食塩水も常備しないだろう。
警察は丘元を犯人として逮捕することに奮闘していた。
問題はどうやって電気を起こしたかということにある。
私は謎が解けてしまった。
同僚の清水巡査を呼びつける。
「食塩水は電気を通しやすいでしょ」
「だから爆発したっていいたいのか?」
「ええ」
「それはなぜ電気ができたのか、っていう説明にはなってないし、その説明だと始めから電気がないといけないだろ」
私の推理を聞いていた他の同僚たちは、「さすが迷推理!」と囃し立てる。
今度こそわかった。
「清水、理科の教科書を思い出して」
「娘の教科書を?」
「いいえ、私たちが使っていた時代のを。こんなことかいてあったじゃない」
私はそう言って、ホワイトボードにかきだした。(このページの1番下の図のことです)
「11円電気よ。キッチンペーパーを食塩水に浸して、一円と十円で挟むあれよ」
「ああ!」
他の同僚たちは「さすが名探偵!」といい始める。
「丘元は11円電気に必要な道具を全て持っていた。丘元が犯人で決まりよ!」
「でも肝心の証拠が出てこない」
「自白させればいいじゃない」
「自白させるのはとっても難しいぞ!」
「大丈夫」
そう言って、取調室に足を運ぶ。
重い扉を開くとボサボサの髪をした男がいた。この男が丘元らしい。
「私は夏川結衣よ。よろしく」
「ああ」
「私は貴方に自白させるためにここへ来た」
部屋の外にいる清水が何言ってんだといいたげだった。
「俺がやった証拠はあるのか?」
「ない」
「だろうな」
と言って笑い出した。
「貴方は科学が好きなのね」
丘元は黙った。
「普通は思いつかないことをやるし、方法が科学好きのやることだもの。私の友達もそうだった。科学のことになると何を始めるかわからなかった。始めは人のためになることだった。でも途中で何かが壊れた。怪しい組織に入って、変な薬をつくり始めた。私と会うこともなくなった。
最後に会ったのは取調室だった。組織の不正がバレて、余罪がたくさん出てきた。その中に友達がつくった毒を使った殺人罪があったの。その毒をつくった功績で友達は組織の幹部になった。そして死罪が組織の幹部全員に言い渡された。もう会うことはなくなった。私から話すことはもうない。この話を聞いてどうするかは貴方次第」
そう言って私は取調室を出ようとした。
「夏川さん、待ってください」
私は振り返って再びパイプ椅子に座った。
「自白します」
「そう」
「でもその前にきかせてください」
「何を?」
「夏川さんは刑事ですか?」
「ええ、警視庁捜査一課の夏川よ」
そう、私は警察官だ。
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