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凄まじい衝撃と爆音。
気が付いたときには、コクピットの中にあらゆる警報が鳴り響いていた。
「アイ、何が起きたの?」しのぶは問いかける。
「敵のミサイルに直撃されました。両舷エンジン、失火停止」
ことも無げに、アイが告げる。
「……ええっ!」
しのぶは耳を疑った。それじゃ、墜落してしまうのでは……
「大丈夫ですよ、シノ。安心してください。両エンジンともアフターバーナーは使用不能ですが、タービンは問題ありません。ラムエアでエンジンを再始動します。降下率を上げてください」
ラムエアとは、飛行中に空気取り入れ口から自然に流入してくる空気のことだ。おそらくアイは、それでエンジンを回して再始動するつもりなのだろう。
「わ、わかった……」
しのぶは操縦桿を押し込む。ぐん、と速度が増え、エンジン回転計の数値がゆっくりと上がっていく。20パーセント、30パーセント……
だが、高度も急激に下がっている。この降下率では後1分で地面に激突してしまう。それなのに回転数はなかなか上がらない。
”お願い、始動して……”
しのぶは祈りながら、迫ってくる地面と回転計を交互に見つめる。
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