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慎重に慎重を重ね、21個のアウトを積み上げた。あと6つ、ミスなくアウトを取れば終わり。だが、試練はここからであることは、選手たちもよくよく理解していた。
この場面でサードに入るのは――武志。3度目の挑戦においては、まだ1度も打球を処理していない。左手に装着したグラブを右手でバシバシと何度も叩き、気合いを込めながら守備位置に就く。
引き続きボール出しの役目を務めながら、あやめの背後でノックを見守っていた大。この場面、絶対に武志に打球を飛ばすだろうなと思っていた。この一番苦しい場面で武志に捕らせるために、あえて今まで無視を決め込んでいるようにすら見えた。
もちろん周囲の野手もそれが読めているようだった。守備が入れ替わった瞬間、一斉に武志への声かけが行なわれる。武志もまた、その声の一つ一つに大きな声で返事をして応える。まだまだ闘志は失われておらず、むしろ空気を送り込まれた炎のように勢いを増しているくらいだった。元気なところを見せてこいという大の言いつけを、ちゃんと守っているようだった。
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