第3章 君たちがクソザコだってわからせてあげる!

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 大は考えた。自分に出来ることを必死で探した。周囲を見渡しながら。自分の経験を掘り下げながら。他の部員から聞いた練習メニューも思い出しながら。  思考は野球以外のところにも及んだ。こんな時、チア部の橋前ならどんな言葉をくれるだろうか。空気が重苦しいとき、ダンス同好会の会長はどんな声をかけてくれただろうか。  やがて、大の考えはまとまった。それがあやめの求める答えかどうかは分からない。だが、猶予はない。この状況を突破するためには――思い立ったら、即実行するしかない。 「武志! ちょっと来い!」  大は三塁方向に振り向き、声を張り上げた。  大に名を呼ばれた武志。拳の一発も貰って仕方がないな、と腹をくくっていた。それだけのことをしたという自覚があった。  自分が2度もミスをしたせいで、全体に迷惑が掛かった。特に投手陣には苦しい思いをさせてしまった。同じポジションの仲間が死にそうな思いを味わったというなら、大が怒っても当然である。  ところが、1塁側のダグアウトに武志を招いた大は、怒鳴るでも殴るでもなく――まず、ダグアウトの片隅に置かれたタンクからスポーツドリンクを汲んできた。そのまま、中身の入ったコップを武志に手渡す。
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