第3章 君たちがクソザコだってわからせてあげる!

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※  パーフェクトノック、3回目の挑戦。野手陣にのしかかるプレッシャーは、1回目の挑戦とは比にならないくらい大きくなっていた。投手陣にこれ以上の負担は強いられない危機感と、あと3アウトというところで振り出しに戻った落胆。各選手、表情に色濃く疲労と焦燥感が滲むようになってきた。  緊張感が極限まで高まる中で、選手たちに変化も出てきた。互いの守備位置を確認し、プレー上の注意点を共有し合う姿勢がルーティン化しつつあったのだ。  連携を確認してミスを防ぐとともに、互いを気遣うことでプレッシャーを分け合う。スクイズ一本で慌てふためいて大量失点した秋季大会とは、明らかに違う姿がそこにあった。  この期に及んでもまだまだ手加減なしのあやめのノックに対し、選手たちが一丸となって立ち向かう。野手と野手の間のフライ、守備範囲ギリギリへのゴロ――。硬軟織り交ぜて繰り出される打球を、次々と捌いていく。  いま泉南学園野球部は、重圧が掛かるなかでも充分に闘える集団に生まれ変わろうとしていた。
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