第1章 私が監督ってわからせてあげる!

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第1章 私が監督ってわからせてあげる!

 泉南学園(せんなんがくえん)。横浜市都筑区に広大なキャンパスを持つ私立高校である。  神奈川県の高校野球ファンなら、『センナン』の名を知らぬ者はいないだろう。先日行われた夏の甲子園予選ではベスト8入り。昨年もベスト16、一昨年もベスト8と、毎年好成績を収める強豪である。  しかしかつては県内でも敵なしと言われ、全国優勝も飾った過去の栄光から比べると、その力は没落したと言わざるを得ない。  甲子園からは春夏通じて20年も遠ざかり、その間の最高成績は県大会ベスト4止まり。数々の新鋭高がしのぎを削る神奈川において、泉南学園は『優勝候補』から『その他大勢』の中に足を踏み入れつつあった。  学校側もこの状況に苦慮していた。奇しくも、来年は学校創立50周年。何としても甲子園出場し、この記念の年に箔をつけたいところである。  『古豪復活』に向け、野球部に新たな監督を招へいすることとなった。校長、理事長の肝いりで就任した監督というのが―― 「甲子園に出れなきゃ県大会ベスト8も初戦敗退も変わらないんだよ、ざぁこ♡ 」 須垣(すがき)あやめ、17歳。現役バリバリの女子高生であった。
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