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チャイムが鳴り、ホームルームが終わった。
早く帰帰ろうとして机の教科書を片付けてると、
トウキがきて
「なあ、アキラってサイトウの家の近くだろ?」
って話しかけてきた。
「そうだけど。」
「サイトウってどんな奴?」
「えー、本が好き。」
「本屋さんだもんな、サイトウの家。」
「トウキもサイトウさんのこと知ってんじゃん。」
「本屋さんだってくらいは知ってるよ。」
「ボクもそれ以上は特に知らないよ?」
「アキラ本好きじゃん、サイトウの家に本買いに行かないの?」
「結構行くよ。近いし。」
「じゃあ結構しゃべるんじゃないの?」
「小学六年が店のレジにいるわけじゃないじゃん。」
「そっか。」
「そんなに知りたいなら直接本人に聞けよ。」
「アキラさ、もし転校したとしてさ、
その転校先のやつに急に『お前どんな奴?』って聞かれたらどう思う?」
「うわー、なんかバカが話しかけてきたって思うかな。」
「だろー?じゃあ直接本人に聞けないじゃん。」
「じゃあ仲良くなって喋ってればそのうちわかるんじゃないの?」
「サイトウと何の話したらいいの?」
「本の話じゃない?」
「オレ本って漫画以外は読まないもん。」
「サイトウだったら漫画も読んでそうだけどなぁ。」
「でももし漫画読んでなくて、字だけの本しか読まない奴だったら
すげーバカにされるだろ?」
「トウキのサイトウさんのイメージどんなだよ。」
「サイトウじゃないよ、字だけの本しか読まない奴のイメージだよ。」
「今どきそんなやついるの?」
「大人とかではいるよ。たぶん。」
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