銀河鉄道の本屋のススメ

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「クワハラー。」 ウチダさんは教室に入ってくるとボクの席までトウキを呼びに来た。 「あんた今日体育委員会でしょ。ちゃんと来なさいよ。」 「行くけどさー、なんで一々言いに来るの?」 「アンタがこないだサボってたからでしょ!」 「サボってないよ、忘れて帰っただけだよ。」 「それをサボったっていうの!」 「トウキと一緒だと大変そうだね、体育委員。」 帰る準備はとっくに終わってたけど、 なんか二人が話し始めたので帰れなくなった。 「ほんと、やるんじゃなかったわ。」 「そうだ、ウチダは本読む?」 「本?少しは読むけど。」 ウチダさんも本を読むのか。 どんな本を読むんだろう。 「漫画と字だけの本、どっちも読む?」 「うわーバカっぽい。」 「ほらなアキラ、ほらな?本だけ読む奴は  漫画読む奴をバカにしてくるだろ?」 「漫画読んでるからバカにしてるんじゃないの。  字だけの本って言い方をバカにしてんの。  小説とかミステリーとか詩集とか言い方あるでしょ。」 「ウチダさんも小説読むの?」 「え、うん、ちょっとね。」 「こいつ殺人とか占いとかUFOとか胡散臭い本しか読んでないぞ?」 「うっさい。人の趣味をとやかく言うな。トウキも読んでるの  ケンカするような漫画ばっかじゃない。」 「バッカ、呪霊や吸血鬼と戦うのもあるんだよ。」 「どれもケンカよ。」 「それよりトウキ、委員会はいいの?」 「あ、やべ。」 「あ、あたしも行かなきゃ。ほら、クワハラ、さっさと行くわよ。」 トウキはウチダさんに連行される形で教室から出て行った。 「そうだ、アキラさ、なんか面白そうでオレでも読めそうな本貸してよ。」  出たと思ったらちょっとだけ戻ってきた。  廊下からウチダさんの怒ってる声がちょっと聞こえる。 「えー、むずかしいな。」 「頼む頼む、軽く考えてくれりゃいいから。」 「じゃあちょっと考えとく。」 「やった、ありがと、頼むな。」 「ほらクワハラ!」 「じゃあな、トウキ。」 「おう、バイバーイ!」 連行されるトウキを見送って。 ボクも帰ろうとしたけど、 気になることがあったので一度教室に戻った。
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