初めましてのレイニー・ブルー

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「最悪だ」 幸い、目的のバス停は屋根付きのバス停だったため、びしょ濡れにならずに済んだ。 が、この雨いつまで続くのだろう。夕立だから早く止むとは思うけれど、もし長引いた場合、無事にバスに乗れたとしても、降りてから家まで15分はかかる。困った。 僕はスマホに登録しておいた「バスの接近情報アプリ」を開いた。目的のバスは……え、20分遅れ……。 雨の日はよくあることなのだが、ガックリと肩を落として、椅子に座った。 他にバスを待っている人はいない。 耳にイヤホンをつけ、ノリの良いテンポの曲をかける。こうでもしないとこの憂鬱を吹き飛ばせない。 3曲。 聴き終わった時には、バスを待ち始めてから15分は経過していた。再度アプリを確認する。「遅れ25分」の赤文字がチラリ。 くそ〜〜。 これじゃ、宿題終わらないじゃん。英語の予習だってたんまりある。今日も徹夜コースなのか……。 と、より一層深く落胆したとき。 隣に、さっと人の気配がした。 女の子が、いた。 自分と同い年くらいか、年上か。いまいち判然としない。なぜならその人は明らかに日本人ではなかったからだ。 まず、肌が黒い。 長い黒髪は丹念に編み込まれて後ろで一つに括られていた。目は大きくて鼻はくっきりと鼻筋が通っている。彼女の生まれた国では間違いなく「美人」な部類に入るだろう。 それだけでかなりのインパクトだったのだが、何か物言いたげな様子で僕を見つめていたので、なんとなく無視できずに話しかけた。 「は、はろー」 「Hello」 お、通じた! 学校では英会話など全く勉強していないため明らかに不自然な発音だったにもかかわらず、彼女はふっと頬を緩め、笑ってくれた。
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