【 第9話: お風呂へ入るにゃ♪ 】

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【 第9話: お風呂へ入るにゃ♪ 】

「やっぱ無理……。俺は、王子じゃねぇし……。ミャーに説明して、明日、家に帰ろう……」  俺は、この国の王子になることが、怖かったんだ……。  俺がお風呂から出ると、ミャーは恥ずかしそうに、小走りで入れ替わるように、お風呂場へ入った。 『バタン!』 『シャーッ……!』  怖い……。王子になるのが、怖い……。  ドキドキしてきた……。心臓が口から出そうだ……。  俺は、不覚にも、ミャーがシャワーを浴びている姿を妄想してしまった。  綺麗で透き通るような白い肌…、モカブラウンのかわいいショートヘアー……。  ふと、ベッドの方を見ると、今まで見たこともないほどの巨大な円の形をした高級そうなベッドだった。  上からは、綺麗なレースの天蓋(てんがい)カーテン付きの、まさに、『ザ・お姫様』ベッドだ。  俺は、そのベッドを見て、またしても怖くなった……。 「ああ~、いかん、いかん! ミャーにやっぱり言おう……。明日、帰るって……」  そんなことを考えていると、ミャーがお風呂場から出てきた。  俺は、無駄に大きなベッドの上で、ミャーに背を向けながら、胡坐(あぐら)をかいて座っていた。  すると、ミャーは純白のバスローブ姿で、いい香りを漂わせながら、俺の前に現れた。  俺は、ゆっくりと顔を上げ、ミャーを見る。  その姿……、かわいい……。  実にかわいらしい……。  天使というのは、この娘にいう言葉だろう……。  でも……。  何か、違和感が拭えない……。  何故だ……、どこか、おかしい……。 「タ、タロー……、そんなに見つめられたら、ミャー、恥ずかしいにゃ……」 「あっ、ご、ごめん……」  俺は、直視し過ぎた……。  でも、やっぱり、何か変だ……。違和感がある……。 「タロー、ベッドに入っていいにゃん……?」  俺は、絶体絶命のピンチを迎えていた……。 『チリリン……』
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