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第1話 プロローグ
私、田中美琴は、今日も今日とて幼馴染で親友の美月ちゃんの部屋に入り浸ってゲーム三昧の日々を送っていた。
今、夢中になっているのは、神聖ローマ帝国のハプスブルク家を舞台とした「ハプスブルクの夢」という乙女ゲームだ。
美月ちゃんと攻略法について楽しくおしゃべりしながら夢中になってゲームを進めていると時間が経つのも忘れてしまう。
ふと時計をみると深夜の2時を回っていたので、慌ててミーちゃんに声をかける。
「美月ちゃん。もうこんな時間だよ。明日、仕事なんでしょ」
「うわあ。たいへん。もう~。いいところだったのに~」
私はT大学大学院の修士課程を3月に卒業し、民間のM総合研究所への就職も決まり、待機状態の暇人だった。専門は国際政治学で、ドイツ史を専門にしていた。
一方、美月ちゃんは専門学校を卒業し、今はパソコン・トレーナーの仕事をしている。もう社会人4年目である。
そんな美月ちゃんは、私と話すときは相変わらずだが、このごろは社会人としての貫禄も感じられ、私は少し引け目を感じていた。
「こんな時間までごめんね」
「いや。私も悪いんだから、気にしないで」
「じゃあ。私帰るね」
「うん。気をつけてね」
ここは閑静な住宅街だし、私の家はすぐ近所だ。美月ちゃんも心配症だな…
「いや。こんな時間に人通りなんてないって…」
「でも、万が一ってこともあるから…」
「大丈夫だって…」
それが美月ちゃんとの最後の会話となった。
私は、まさかの深夜の住宅街を疾走する暴走トラックに衝突された。そしておそらくは命を絶たれた。
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